「大友良英 生誕半世紀記念ライヴ」というイベントが行われるということを、現在も開催中の
ENSEMBLES 09展に行ってきたという友人からパンフをもらい知る。大友良英の特にファンではないが、このイベントの2nd setが「幽閉者」というバンド(?)形態で、その中にジム・オルークと、ボアダムスの山本精一の名前があったので興味をもち、その友人を誘ってイベントに行ってきた。
今回はその友人がSuperDeluxe に行ったことがあるということなので、道には迷わずたどり着くことが出来た。なかなかレトロな雰囲気のあるマンションホテル(って何だ?)の地下にそのSuperDeluxe はあるのだが、看板も地味で一人だったら見逃していたかもしれない。
予約をしていなかったので若干不安だったが、予約で先に入っていったオドレイ・トトゥ似の可愛いフランス人に友人と二人でときめき(友人は女性だが)ながら、案外余裕で入店。その娘、入店前にタバコを吸っていたのだが、入り口に灰皿がなく、さすがにタバコを持って入店するのが躊躇われたのか、かなりオーバーアクション気味に周りをキョロキョロ、どうしよー、あっ彼氏先行っちゃった~、えーい、ポイだー。もちろんマナーの悪い行動なのだが、その一連の動きがなんか可笑しかった。
入店後、席の配置がちょっと変っているのに驚く。真ん中にお客さんの席が円形に設けてあり、その周りを出演者達の各楽器が取り囲み、またその周りに客席が配置されるといった按配。とりあえず、ターン・テーブルとギターの置いてある大友良英のものであろう席の裏側に陣取ることにする。開始時間までは酒を飲んだり適当にだべったりしてだらだら過ごす。
1st setは大友良英 ピアノソロ ということだったので割りとおだやかな感じかと想像していたのだが、もう完全なノイズ。このピアノというのがかなり曲者で、音にエフェクトかけてる?いやギターぽい?のかよくわからんけどかなり凶暴なノイズが出ます。すごい音の洪水だったのですが、なぜか途中でうとうとしてしまった・・・
んで30分の休憩を挟んで、待ってましたの2nd set「幽閉者」のライブ。ジム・オルークらしいというかジョン・フェイフィ風のギターで始まって、それに各々が即興でいろいろ音を足していくかんじなのだけど、やり過ぎない絶妙な音響ノイズといった感じでわびさびすら感じる風情。大友良英を紹介する際によく言われるターン・テーブル奏者っていったいどんななんだろっていつも思っていたんだけど、ターン・テーブルにエフェクターをつないで、ヒップホップ的なリズミカルではない本当の意味でのスクラッチ。なるほどこうすればこんなに単純なしかけでノイズを生み出す楽器になるのだなー。その他にも、足元に落ちてある裸のシンバル踏みつけたり、意外と原始的な方法で様々な「音」を生み出していく。その様は、ノイズや即興という言葉から受ける身体的、情動的でエモーショナルな熱といったものからは少し距離を置いた緻密な、ほんと息を潜めるような繊細さに裏打ちされた、ある種「知的」ともいえる演奏でした。感動。
最後は大友良英によるメンバー紹介で締めたのだけど、大友さんが、「この演奏環境の特殊性上アンコールは・・・」みたいなことを言ってる途中で、となりで演奏していたジムが「アンコールあります!(みんなで、みたいなアクション)ハ~ピバ~スデ~♪」と入ってきてほっこりさせられる場面も。ハッピーバースデーの歌の後半で場内でやたら大声でわめき歌う人がいるなーと思ったら中原昌也でしたw
にしても「中原昌也の作業日誌」の中でもしょんべん横丁かどこかで何か辛いことがあって号泣する中原昌也を慰めるジム・オルークってのがあった気がするんだが、ジム・オルークってすごいいい人っぽいよな~とホクホク顔で帰宅しました。